2011年1月23日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(6)

神田界隈/神田古書街
文:山尾かづひろ 挿絵:矢野さとし














【神田古書街】
都区次(とくじ):それでは九段から神保町へ向います。この辺は世界でも屈指の古書店街で神田古書街と呼ばれる地域ですが、実に130年の歴史があります。どういう経過でこのようになったのですか?
江戸璃(えどり):明治10年代この地域に相次いで創立された法律学校の明治法律学校(明治大学)・英吉利法律学校(中央大学)・日本法律学校(日本大学)・専修学校(専修大学)の学生を当て込んで古書店も含めた法律書の書店が次々出来ていってこうなったのよ。

都区次:古い書店も残っていますが、この辺一帯は太平洋戦争の空襲で焼けなかったのですか?
江戸璃:となりの小川町・錦町界隈は焼け野原になっちゃったけど、神保町の古書店街は焼けなかったのよね。終戦直後に、夏目漱石と親交のあったハーバード大学のセルゲイ・エリセイエフ教授がマッカーサーに「爆撃回避」の進言をしたとか。神保町に救世軍の日本本営があったからB29が爆撃を回避させた。などという噂が飛び交ったのよ。でもね、私はこの二つの噂は“限りなく”信じたいのよネー。

書を求む神田はすでに喜雨の中   角川源義
救世軍本営のビル冬灯              山尾かづひろ