2013年3月3日日曜日

尾鷲歳時記(110)

風車は回る 
内山思考 

卒寿翁みずから走り風車  思考


諸葛菜は
花ダイコンのことだそうだ



















和田悟朗さんの読売文学賞の授賞式は盛大に行われたようで本当に良かった。あらためて「先生おめでとうございます」と申し上げたい。僕はあいにく出席出来ず、祝電にて失礼させていただいた。しかしたびたび触れるがお元気な方である。今回の上京も奥様同伴かと思いきや、前日の西宮での句会でうかがうと、「いや、一人だよ」とさり気ない返事。春風駘蕩、常に平静な和田さんらしいなと嬉しかった。和田悟朗さんの感性の風車はまだまだこれからも回り続けることだろう。まことに心強い話である。

さて、話題は卑近になるが、3月20日で僕は十年近く続けた紀勢新聞の配達を止めることにした。先代の社長時代に夕方の一時間ほどならと始めた配達だったが、今や当たり前の日常の一部となっている。理由は妻の退職である。病弱な身体に鞭打ってやっと公務員生活に別れを告げ、少しでも元気な間にいろんな旅をしてみたい、と望んでいた彼女の夢がやっと叶う時が来たのだ。必然的に亭主のフォローの機会も増えると考え決断したわけである。

新聞の配達人の必須条件に欠勤が少ないことが挙げられる。休めば他人に負担がかかるからだ。その点で妻の通院や所用での休みが多い僕は不向きだったと言える。にもかかわらず勤めさせて下さった現在の社長や従業員の方々に今更ながら感謝したい。雪こそめったにふらぬものの、尾鷲は毎年屋久島とトップを争うほどの豪雨地域だ。時間雨量百ミリ近い降りの中、いかに濡らさずに新聞を配るか、に腐心したことなども今となっては懐かしい。

配達の最後はいつもこの風景











「えーっ思考さん止めるのー」とか「いつもの時間に『有り難う』のあの一言が聞こえないと思うとさみしいわ」など後ろ髪(無いけど)を引く女性ファン?の声もないわけではないけれど、言って下さるうちが花。残りの日々も無事に紀勢新聞を配り続けたいと考えている。因みに次の配達人(女性)はもう決まっているそうだ。