2013年11月10日日曜日

尾鷲歳時記(146)

落語とパンダ
内山思考


日本に正座はありぬ冬景色  思考

和歌山県有田郡湯浅町は
金(径)山寺味噌も名物














月日の巡りは早いもの、桂文我さんの独演会の日がやって来た。場所は大阪の国立文楽劇場。そのまま近くのホテルに泊まって、翌日は白浜のアドベンチャーワールドでパンダを見る、というのが今回の主な計画だ。後は思い付きの成り行き任せツアーである。メンバーは青木、内山夫妻、運転手は思考が担当、といつものスタイル。朝九時半に尾鷲を出て、ワイのワイのと喋り笑い新名神を快走、土山あたりだけ土砂降りで驚いた。

それから西は問題なし。落語の開演は夜なので、奈良公園に行って時間つぶしを、と寄り道をしたら何と、奈良の都は正倉院展の最中で駐車場がどこも一杯ではないか。駄目だコリャと諦めかけたら、興福寺の辺りで整理員の小父さんが「一台OK」と人差し指を立ててくれたのは嬉しかった。そして、しばらく古代の息吹きに触れた一行は再び大阪を目指したのである。

文我さんは古典に新作取り混ぜての三席を舞台に乗せた。この噺家さんの安定(不易)と斬新さ(流行)が僕には好ましい。充実の二時間半を過ごし、日本橋筋辺りで夕食後ホテルにて就寝。さて二日目の朝になった。バイキングで朝食、8時のNHK連ドラ見てどちらも「ごちそうさん」でチェックアウト。昼食は「醤油発祥の地」湯浅町にてうどん屋に入り、とうとうやって来たのが「アドベンチャーワールド」である。何しろ4人ともパンダを見るのは初めてなので年齢を忘れて大はしゃぎ。前回(9月)高野山参りのついでに寄ったら休園だったので余計に思い入れが強いのだ。

三歳の双子、
海浜(カイヒン)と陽浜(ヨウヒン)
それにしてもパンダって本当に可愛い生き物である。動く度にゴロンとかデロリンとか漫画の擬音が現れそうな気がするし、笹をムシャムシャ食べる姿もイメージを裏切らない。若いパパとママの方がパンダに夢中になって、ベビーカーがポツンと置かれているので覗いてみると、赤ちゃんが首を傾けてよく眠っている。その寝顔にも僕は微笑んでしまったのだった。