2014年11月9日日曜日

尾鷲歳時記(198)

霜月の朗報 
内山思考 

半熟の冬の太陽浮く朝餉   思考

僕の投稿文








沖縄のヤカブさんから電話があった。「新聞に思考さんのが載ってましたよ」。僕はその意味がすぐわかった。一週間ほど前に沖縄の新聞、琉球新報の「声欄」に投稿をしたからである。いきさつはこうだ。活字好きの僕が、沖縄に行くたびに地元の新聞を読みたがるので、ひろこさんが那覇の自宅でとっている琉球新報を、いつもまとめてとっておいてくれた。ところが今年は、僕と恵子の腎臓移植があって春からずっと那覇のアパートに帰ってない。

「体調が整ったらすぐ戻りますから」電話するたびに沖縄を恋しがる僕を可哀想だと思ったのか、ひろこさんはわざわざ新聞を尾鷲へ郵送する手続きをしてくれた。沖縄では「琉球新報」「沖縄タイムス」の2紙が主流で、僕は滞在中にヤマトの新聞を見かけた記憶はない。新報、タイムスのどちらも沖縄の熱いニュースが満載で甲乙つけがたい。たまたまひろこさんが新報の購読者だったため、僕もその紙面に馴染んでしまったわけである。

中央紙が日本経済の先行きや原発再稼働を大見出しに据える時も、沖縄紙は米軍基地の移設問題、県知事選挙報道がトップで、文化、教育、地方のイベントにも大きくウェイトが置かれている。内容は実に充実している。中でも楽しみは4コマ漫画「がじゅまるファミリー」で、とにかく登場するキャラクターが「世間ずれ」していないし起承転結に嫌みがない。「ほのぼの」などという当世、絶滅危惧語に指定してもいいような感情が見る度に湧いてきて、感動的であったりもする。

ひろこさんの幼なじみ、
芸達者なたかしさん
例えば、親と一緒に七夕の飾りをする孫が祖父母に「オジー、オバーは願いごと書かないの?」と問うと、2人は子と孫の顔を眺めながら「もう願いはかなっているから」とほほえむのである。これなど4コマ漫画の傑作といって良かろう。三重県にも読者がいることを沖縄の人たちに知って貰いたくて、僕は声欄への投稿を思い立ったのである。掲載して下さった編集部の皆さん本当に有り難う御座います。