2011年3月27日日曜日

私のジャズ(13)

発見!ジョン・コルトレーン 
松澤 龍一

The Thelonious Monk Quartet featuring John Coltrane
(Blue Note CDP0777 7 99786 2 5)CD












CDケースには Live at the Five Spot Discovery !と書いてある。まさに発見された録音なのである。ジョン・コルトレーンが彼の独自のテナースタイルを確立したのは、マイルスの元を離れ、セロニアス・モンクのカルテットに加わり、1957年にニューヨークのジャズクラブ、ファイブスポットに出演したときと言われている。このときの録音は残されていない...、と長年、信じこまされていた。それがあったのである。出てきたのである。その当時のコルトレーンの夫人がひそかに個人用のカセットで録音していた。1990年代に、これを Blue Note がCD化してリリースした。

発売されると同時に購入した。なにしろあのコルトレーンの一大転機の現場である。ちなみに、これを契機にコルトレーンは長年の麻薬から足を洗っている。あの Sheets of Sounds と呼ばれた、重層的な奏法が随所に聴ける。ソニー・ローリンズ風のホリゾンタルなメロディーラインも健在だ。二つのスタイルが混在していた時期のようである。その中から新しいコルトレーンは羽ばたきつつある。それにしても録音はひどい。やたらとドラムの音が大きく、その奥からコルトレーンが聞こえる。勝手にフェイドアウトはする。テーブルの食器の音が大きく被さる。この最悪な録音でも、、コルトレーンの変革への強いメッセージは強く鳴り響いてくる。これから10年、本当にコルトレーンは疾走した。モードからフリージャズへ、そして、1966年東京のコンサートを迎える。(ウィキぺディアによるとこのCDは1957年の録音ではなく、その一年後のものとされている。仮に一年後であったにしても、変革期のコルトレーンを伝える歴史的録音であることには変わりない)

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追加掲載(120104)
コルトレーンの独特のフレージングが聴ける。コルトレーンに続くアルトのソロはエリック・ドルフィーか。