内山思考
二百里の旅より帰り豆の飯 思考
玉記さんの瓢箪 |
「風来」の同人、玉記久美子さんに瓢箪を頂いた。 彼女のご主人が趣味で作っておられるのだそうだ。形の見事さ、塗りの色使い、まさに「瓢箪アート」である。意外なのはとても軽いということ。宅配便の箱を受け取ったとき、中身が入っていないのでは、と思ったほどだ。
瓢箪といえば僕には二つのイメージがある。まず、志賀直哉の短編小説「清兵衛と瓢箪」だ。 大まかな筋しか覚えてないが、清兵衛という少年が瓢箪に愛着を持ち、酒で磨いたりして丹精する内にあまりに夢中になり、結局、父親に全部叩き壊されてしまう。清兵衛もやがて、瓢箪のことは忘れてしまうが、彼が十銭で買い、教室にまで持ち込んで磨いていて、教師に取り上げられたひとつが、巡り巡って数百円の値がつく、という話である。だから僕は、瓢箪といえばくすんだ色を良しとするものだ、と長年思っていた。 ところが、「玉記瓢箪アート」は全く朗らかで豪華絢爛、鯰でも簡単に押さえられそうな存在感がとても嬉しい。
二つ目のイメージは、懐かしのNHK人形劇「ひょっこりひょうたん島」である。 1964年4月からの放映だから、小学五年生だったろうか、夕方五時四十五分から六時までのこの番組をどれだけ僕は楽しみにしていたことか。キャラクターのユニークさとミュージカル仕立てのストーリーの面白さ、今でも、ひょうたん島の主題歌を聞くと、あの頃の思い出が堰を切ったように溢れ出す。
佐波留島 |