2012年7月22日日曜日

金子兜太 全句講評講座記録

開催日時  平成24年6月16日(土)
主催:現代俳句協会 於・東京都中小企業会館

(記録 事業部委員 田中 悦子)




当日は生憎の雨の中、27名の参加者を得て開催されました。初めに金子兜太名誉会長の「現代俳句協会にこんなにたくさんの若い人がいたとは驚いた」という趣旨のご挨拶がありました。最終行の2句は当日会場から提出された小学生の作品です。

 
    柿若葉針穴に糸通りけり       杉山 よし江

中年以降の女性の句?付き過ぎ。二物配合の句。新鮮さにかける。
   
    死に行くときも焼きいもをさはつた手  宮本 佳世乃
些末主義。焼き芋に対する感覚のこまかい事に拘りすぎ。


    逃げ水や極楽まではまだ遠く     石川 理恵
二物衝撃の典型的な句。


入選   風へ浮き日へ沈みたる椿かな  坂西 敦子
沈みたるが柔軟。椿を替えた方が・・・


秀逸  いつも友だち白夜を知つてゐる犬と  小川 楓子
発想が面白い。感覚の奧が深い。


秀逸  その池は三日月映さぬという    近藤 真由美
三日月の後に「を」を入れた方が良い。


    人通り戻り銀座の夜の秋       中本 真人
「減る」でなく戻るとしたのは良かったが、下五の季語が平凡。

入選  ごきぶりの躓くことを知らぬなり   酒井 俊祐
一種の才能を感じた。ごきぶりが躓くという発想は今までにない若さがある。


佳作  見開きて見切れてなほも薔薇あり   松永 みよこ
軽く存在するものと自分との出合い。


秀逸  蛍来よ彼女の読書妨げよ       野口 る理
「妨げよ」で若さがでた、素直さが良い。


秀逸  鐘あれば撞く 万朶の春逝けり    田中 悦子
自由な発想。一字アケの技術が上手い。


入選  鯉に恋乞ひてみやうか四月馬鹿    なつ はづき
同音異義語を並べて、これだけのレトリックを使えること。言葉遊びの面白さ。


佳作  春風駘蕩子供は靴を脱ぎたがる    田口 茉於
即興の面白さ、季語が付き過ぎ。


入選  タバスコをたっぷりふりかけて素足  菊池 麻美
下五が上手い。若い女性の感覚。下五「素足」の前を一字アケにしても。


    爛春のからだは紙の泥にまみれ    中村 安伸
意味は無く感覚的な句。始めは面白いと思ったがマンネリ、季語を変えたら面白くなるのでは。

  
    ポラリスや確かに男体山眠る     五島 髙資
「確かに」の言葉が効いてない。ポラリスは中距離弾道弾のことか、北極星のことか判らない。北極星のことなら新鮮味に欠ける。ひねり過ぎ。


入選  プラットホームの端を見に行く啄木忌  松尾 清隆
季語が合うかどうかは好みが分かれるところ。秀逸にするか迷った。


入選  掴まれて自由な腕花の冷       髙勢 祥子
捉え方が上手いが、季語にもう少し工夫が欲しい。


入選  月のものスルリと出れば弥生かな   金子 泉美
こういうことを自由に書けるのは表彰もの。けれどこういう作品ばかりが続くと
がられる。

入選  春の闇詰める水玉のペンケース   千葉 由穂
感覚は冴えているが、水玉が曖昧。ペンケースの柄が水玉だったとしたら平凡。中
七「る」を取った方がよい。
  
    春満月映す高層ビルの窓       伊藤 沙智
上五にもう少し工夫が欲しい。

  
    暖国の珊瑚に人に真白の骨      橋本  直
ゴチャゴチャしている感じがする。いっそ上五中七の助詞を「暖国も珊瑚も人
も」と全部「も」にしたらどうか。

佳作  風船を持たぬ右手も湿りたる     矢野 玲奈
「右手」がくどい。


秀逸  接吻といふ字楽しもバードウィーク  後藤  章
発想が良い。季語の見本のような句。


秀逸  ランドセルストーブの香を持ち帰る   遠藤 寛子
こんな句に出合ったことがない。こういうことを一句にする自由。


秀逸  葉脈のふてぶてしさも柏餅      栗原 和子
大人の句。

   
    冬の月見ると心があたたまる     荒居 奈菜子
子供だと普通なら春の月とかにしてしまう。大人のようなひねり方。

  
    クリスマスオーケストラな料理たち  荒居 桃子
すごく感覚が良い。上五、「お正月」でも良いのかな。


以上