2014年2月23日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(164)

山手線・日暮里(その64)
根岸(上根岸83番地の家(46)「子規庵」)
文:山尾かづひろ 

全生庵











都区次(とくじ):前回は愛染かつらの自性院と泥舟の墓の大雄寺でしたが、今回は何処へ案内してくれますか?

坂の名のさんさき坂よ梅三分  畑中あや子

江戸璃(えどり):前回の自性院と大雄寺に行った時に三崎(さんさき)坂が見えたので、そちらの方へ行くわよ。目に入って思い出した時に行かないと忘れちゃうからね。今度の全生庵(ぜんしょうあん)も大矢白星師に案内してもらった場所だけれど、墓地に入ると三遊亭円朝の墓と山岡鉄舟とが際立った大きさで並んでいるのよ。臨済宗のこの寺は、明治16年に山岡鉄舟の創建にかかるのよ。円朝は鉄舟が贔屓にしていた落語家で、鉄舟との縁でここに墓があるのよ。鉄舟は旧幕臣、西郷隆盛と勝海舟との会談を斡旋して、江戸を無血開城に導いた恩人で、後に明治天皇の侍従となったのよ。また円朝は人情咄、怪談咄に秀で、現在でも旧盆の頃には、この全生庵で幽霊画展が開かれるわよ
都区次:ところで黄昏れてきましたが今日はどこへ行きますか?
江戸璃:秋葉原の居酒屋の「赤津加」で熱燗を飲みたくなっちゃった。
都区次:いいですね。行きましょう。


山岡鉄舟の墓











剣豪の眠る墓あり木の芽立つ  長屋璃子(ながやるりこ)
冴え返る朝がまた来る尾長鳴く  山尾かづひろ