2011年4月10日日曜日

私のジャズ(15)

えっ、あのヘレン・シャピロが 
松澤 龍一

HELEN SHAPIRO
Straighten Up and Fly Right
(Dureco Benelux 88085)













ヘレン・シャピロ、覚えている方がいるだろうか。団塊の世代の我々が初めて西洋の大衆音楽と出会った頃、プレスリー、ポール・アンカ、ニール・セダカなどと一緒に歌っていたイギリスのポピュラーシンガーである。「悲しき片想い」とか「子供じゃないの」とかがヒットした。日本では変身前の弘田三枝子がカバーをしていた。

偶然に見つけたのがこのレコードである。随分と昔のこと。ヘレン・シャピロ、ああ、あの弘田三枝子のご本家ね、と素通りしようとしたところ、ジャケットの裏を見て立ち止まってしまった。歌っている曲がア-ビング・バーリン、コール・ポーター、リチャード・ロジャースなどスタンダードポップの大御所が作曲したものが並んでいる、それに伴奏が、キーボード、ギター、ベース、ドラムスにトランペット、サックス、トロンボーンと 完全にジャズである。あのヘレン・シャピロがジャズを歌っているのだと、思わず好奇心だけで買ってしまった。

その後、数回にわたる私のレコードコレクションの仕分けをくぐり抜け、捨てられずに我が家の片隅にしぶとく生き延びている。久しぶりにジャケットの埃を払い聴いてみよう。弘田三枝子ばり(本当は逆だが)の野太い声は懐かしし、唄も中々良い。少なくとも美空ひばりのジャズよりはましだ。このレコードには録音のデータが一切書いていないので、ヘレン・シャピロが幾つ位の頃の吹き込みなのか分からない。ジャケットの写真を見る限り、10代ではなさそうだ。20代もあやしい。

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追加掲載(120104)
ヘレン・シャピロはやっぱりこれ。