2011年7月3日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(27)

浅草界隈/待乳山聖天
文 : 山尾かづひろ  

待乳山聖天










都区次(とくじ): それでは金竜山浅草寺裏の「待乳山聖天(まつちやましょうでん)」へ行ってみましょう。ここを選んだ理由は何ですか?
江戸璃(えどり): この寺はね、推古3年(595)に浅草寺観世音の出現の前触れとして一夜のうちに出現した霊山で、そのときに金竜が舞い降り、この山を守護したことから金竜山と号するようになったのよ。この寺は推古9年(601)、旱魃に苦しむ民衆を十一面観音が大聖歓喜天(聖天)となって救ったことが起源になっているのね。だから本尊は十一面観音を本地仏とした大聖歓喜天なのよ。
都区次: この寺は浅草寺の子院ですよね。
江戸璃: そうなのよ。子院の方が本体の浅草寺より創建が古いのよ。「恐れ入谷の鬼子母神」よね。
都区次: この辺の風景は歌舞伎の書割(背景)としてしばしば見られますが?
江戸璃: 元はこの待乳山聖天の北側に今戸橋があって、吉原へ向う山谷堀の入口になっていたので絵に描かれることが多かったのよ。

広重の待乳山上見晴










生涯を浅草暮らし単帯   大矢白星
節分の待乳山へと繰出しぬ  山尾かづひろ