2011年7月31日日曜日

尾鷲歳時記(28)

大きな和について
内山思考

蝉時雨一本道に迷うかな 思考 

沖縄から来たルートビアとサンピン茶












親しい知人がいることもあって、妻も僕も沖縄が大好きである。 地方公務員の妻は、二年後に退職したら沖縄に住むのだと言って、この春、今帰仁(なきじん)に借りる家を探しに行った。どうも本気らしい。 「で、僕はどうするの?」 と聞くと、 「お父さんは、ここ(尾鷲)に居て、時々遊びに来たらエエやないの」 との事で連れて行っては貰えなさそうだ。

だが妻よ、尾鷲だって素晴らしい所なんだぜ、夏暑いといってもすぐ近くにある森や山の緑、空の青、海の紺が涼を呼び、冬寒いといっても、氷の張る日など幾日も無く、たまに朝、雪化粧する山々も昼には素っぴんに戻ってしまう。 その上、魚は穫れ立て野菜は新鮮、周囲は気心の知れた人ばかり、と来れば、一体何が不足で尾鷲を出て行かなくちゃならないんだ、と問いたい。旅行だと思うから余所へ行って何もかも珍しく楽しいので、そこが日常になってしまうと、やはり色々不平が出て来るのではないだろうか。まあ、あと二年の間に心境が変わらないのならそれもいいか、と僕は思っている。彼女なら土地の人とも上手くやっていけるかも知れない。

ところで、我が家は飲み物も沖縄ファンで、妻はサンピン茶(ジャスミン茶)、僕はルートビアというコーラの兄弟のようなものをわざわざ取り寄せて愛飲している。時には友人が箱ごと送ってくれる。 和田悟朗さんに一本いかが、とルートビアをプレゼントしたら後日、 「何やけったいな味やなあ」と笑っておられた。
野良のねこぞう




さて、話は変わって、昨日、町を歩いていたら「ねこぞう」に会った。 以前、このコラムに書いた野良猫である。 ずい分久し振りなので声をかけながら近づいて行くが、相変わらず全く動じる風はない。じゃ写メールでも、と撮っては寄り撮っては寄り、とうとう1メートルまで接近、あまりの無防備さにかえってこちらが気後れしてしまった。 「ねこぞう」はちょっと痩せていた。