2011年9月11日日曜日

尾鷲歳時記 (33)

大騒動現世顔型その1
内山思考 

 穴を掘る男を秋の王となす 思考 

書家・浜田香峰さんの書を
青木上人が刻字して下さった










タイトルは「おおさわぎうきよのかおがた」と読んで欲しい。 年号が平成に変わった年、友人二人と特技を生かして発表会をやろうと言うことになった。 一人は女流書道家、もう一人は青木健斉上人で、お上人は得度する前に中学で美術教師をしていたほどだから、絵は玄人はだしだ。

尾鷲百景の内、馬越峠北浦登り口

失せて行く昭和の風景を水彩で描いた「尾鷲百景」などは、今となっては貴重な文化資料である。 そして僕だが、何も取り柄の無いことにそこで初めて気が付いた。「思考さんは何を?」と問われ、「じゃあ、開催中の2日間、即興で俳句を作り続けます」 と苦し紛れに答えたのが、後の「大矢数俳諧」挑戦のきっかけになるのだから、人生わからないものだ。 街の中の空き店舗を借りることにして、三者それぞれのスペースを割り振ったのだが、僕のところだけ、壁に飾るものがなくて淋しい。 そこで考えついたのがデス・マスクならぬ「ライフ・マスク」の製作だった。

学校の音楽教室などにあった石膏製のベートーベンの顔、あれの「内山思考」バージョンを作ろうと思ったのである。 まず、菓子箱の底を顔の輪郭に切り抜き、それを顔に押し当てて仰向けに寝る。 紙箱のプールの底が僕の顔になるわけで、そこへ、水で溶いた石膏を流し込み、乾くのを待って外せばまず凹型が出来る。そこへ油でも塗っておいて、もう一度石膏を流せば今度は凸型の完成品が出来るというわけだ。

石膏が固まる数十分の間、息を止めているわけにいかないので、鼻の穴へストローを突っ込んで呼吸をするようにした。 「目と口を閉じた?いくよ」 妻が面倒くさそうに言ったかと思うと、 ベチョベチョベチョッと泥状の液体が顔面を覆い、僕は一瞬パニックになりかけたが心を鎮めてゆったりと鼻呼吸を始めた。 実は、これから、てんやわんやの大騒動になるのだが、それは次回に。