内山思考
「君恋し」はフランク永井火恋し 思考
清崎守人さんの絵手紙 |
悪筆だが筆まめの方だと思う。 書くことが少しも苦にならないので、必要に応じてほとんど毎日、原稿用紙や便箋、ハガキに蕨の頭のような文字を並べている。 「わらびならび四百字詰原稿紙・悟朗」 どれほど苦にならないかというと、平成四年の大矢数で4797句を詠んだ時が多分最高だと思うが、これに17をかけて、81549字を一昼夜で書いた。24時間で四百字詰の原稿用紙二百枚、アレ、思ったより大したことないな。
最近は、携帯でメールを打つことを覚えたので知人、友人とのやり取りも案外楽しい。 しかし、やはり手書きの便りが一番好きだ。書いた人の個性と書くために費やした時間分の想いが、いつまでも手元にあるというのはとても素晴らしいことだ。 絵手紙もひと頃はブームになって、僕も一度、付き合いで講座に出かけたが、筆の持ち方や運び方が決まっているから自己流は駄目、と言われて二度目は遠慮した。美人の講師だったので少し残念だった。
その時、僕が清崎守人さんの絵手紙を数枚持っていると言ったら、彼女はとても驚き、清崎さんは伝説の絵手紙作家で、私もたった一枚持っているだけなの、とすごく羨ましがった。 20年近い昔、たしか志摩の郵便局に勤めていた清崎さんが、僕のエッセイの挿し絵を描いてくれた縁で、打ち合わせを兼ねて、何度か便りを戴いたことがあったのだ。清崎さんはその後、若くして亡くなられた。
新聞小説は週一連載、 ジュリエット・グレコ を聴きながら |