2011年10月2日日曜日

私のジャズ (39)

惚れた!
松澤 龍一


いやあ、まいった。惚れてしまった。このビリー・ホリデイ。ビリー・ホリデイはブルースの女王などと誤解されている。とんでもない誤解だ。彼女の生涯で唄ったブルースは、ビリーズ・ブルーズ、セントルイス・ブルーズなど含め数曲に過ぎない。

彼女の数少ないブルースの一つ、ファイン・アンド・メロウがこれである。サイドメンが超豪華、テナーはコールマン・ホ―キンス、ベン・ウェブスター、レスター・ヤング、トロンボーンにヴィック・ディッカーソン、トランペットにロイ・エルドリッジ、それにバリトン・サックスが唯一の白人。ジェリー・マリガン。

各楽器のソロの合間に映し出されるビリー・ホリデイの表情が何とも言えず魅力的だ。レスター・ヤングのソロに映される彼女、ゾクゾクとくる。事実、二人は一時期同棲をしていた。余計な説明はいい。じっくりと映像を見てもらおう。