2011年10月30日日曜日

私のジャズ (43)

サックスはジャズのためにある。
松澤 龍一

GIANTS OF THE TENOR SAX CHU BERRY/LUCKY THOMPSON
(COMMODORE CCD 7004 MONO)

サキソフォンと言う楽器はジャズのために作られた楽器だとつくづく思う。1840年代にベルギーの管楽器製作者、アドルフ・サックスと言う人が発明した新しい部類の楽器である。従って、バッハは元より、ハイドン、モーツアルト、ベートーベン、それからロマン派の音楽には使用されていない。

ジャズでも古い時代のものには使われていないし、広く使われるようになったのは、恐らく、ビックバンドの時代になってからでは無いかと思う。確かにビックバンドの合奏では、サックスが無いとサウンドに深みが出ない。クラッシックの管弦楽の弦楽器に相当するものなのかも知れない。

コールマン・ホ―キンス、テナーサックスで最初にジャズをやった人と言っても言い過ぎではない。サックス固有の温かいトーンで、その当時、誰もがしていたように、サッチモことルイ・アームストロングのトランペットをサックスで吹いた。スタッカートを主流とした縦乗りリズムで、豪快にスイングした。コールマン・ホ―キンスを真似て、同じように吹くサックス奏者が続々と現れる。

チュー・ベリーもその中の一人である。当時は、正にホ―キンス一色であった。そんな時代、カンサスでサックスをコールマン・ホ―キンスのように吹かない変わり者が現れる。カウント・ベイシー楽団にいたレスター・ヤングがその人である。こうして、サックスの分野では、コールマン・ホ―キンス系とレスター・ヤング系の大きな流れが生まれ、ジャズをさらに多様にする。