松澤 龍一
ENCORE" Eddie Bert (Savoy MG-12019) |
自分だけで思い込んでいるのかも知れないが、このレコード、超希少盤だと思っている。日本に、いや世界に私以外に持っている人がいるのかとまで思っている。ジャズを良く聴いていた時でも、このレコードは見たことも、聴いたことも無かった。希少盤ならすごい値段、とはいかない。すべての希少盤が高い訳では無い。そのレコードを欲しがる人がいて、初めて値がつく、値が上がる訳なのである。
このレコードはエディー・バートと言うトロンボーン奏者がリーダーとなりサボイに吹き込まれたもので、エディー・バートその人があまり有名では無く、地味なプレーヤーのため、恐らくこのレコードの存在すら忘れられているはずだ。
ところが、B面だけに、サイドメンとしてJ.R.モンテローズと言うテナー奏者が参加している。これには注目したい。このレコードを中古レコード屋で買った時も、この名前に引かれたのだと思う。、ジャケットの写真で見ると黒人では無いようだが、J.R.モンテローズと言うテナー奏者は、チャーリー・ミンガスの「直立猿人」と題されたアルバムに参加をして、とてもユニークは演奏を聴かせてくれている。決して流麗華麗な演奏ではないが、ゴツゴツと何かに突っかかるような、今までに聴いたことのないフレージングで、ちょっと注目されていた。でも、その後が続かなかった。数枚のリーダーアルバムを残し、いつの間にか名前が消えてしまった。
この「直立猿人」という曲は、チャーリー・ミンガスと言うベース奏者をリーダーとして吹き込まれたアルバムだが、その題名のユニークさで一時話題になった。この曲を含め、どうもミンガスは好きになれない。大体、曲を作りすぎる。アドリブの自然な流れを断ち切ってしまう。