松澤 龍一
「JJULIE at home」(LIBERTY TOCJ-5327) |
前回の美空ひばりを読んで頂いたプロの民謡歌手の方からお便りがあった。美空ひばりは「引き声」が魅力的だという。歌は、声を出して唄うものだが声を引いて唄うところがないと息が続かないし、味わいも出ないとのこと。これは民謡でも同じことで、声は出せども息は出さないのが原則と、プロの民謡歌手ならではのコメント。「引き声」、初めて聴いた言葉で、勉強になった。成程と思うことも。
では、ジャズシンガーと呼ばれる人の中に引き声の上手いのは、と言われるとハタと困ってしまう。ハスキー系の女性歌手を手当たり次第に聴いてみるが、引き声と言われるとそうかも知れないし、そもそも引き声自体が良く分からない。その中で、上掲のCDが出てきた。懐かしい、ジュリー・ロンドン。彼女がジャズのコンボをバックにスタンダード・ポップを唄っている。
ジュリー・ロンドンと言えば日本ではCry Me A Riverで有名だ。消え入るような声で、Cry Me A River と囁き、日本のファン(ほとんど男性)の心を揺さぶっていた。これは引き声とは違うような気がする。単なる声量不足だろう。ジュリー・ロンドンと言う歌手、声量は無いし、唄もあまり上手くない。でも、美人だし、セクシーだし、これで良しとしよう。
やはり、ジュリー・ロンドンは Cry Me A River だ。映像が面白い。