2011年1月16日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(4)

皇居界隈/北の丸公園
文:山尾かづひろ
田安門








【北の丸公園】
都区次(とくじ):地下鉄の九段下駅より北の丸公園へ向います。
江戸璃(えどり):北の丸公園は江戸城の北西に瘤のように突き出た一画で、徳川時代は御三卿の田安徳川家と清水徳川家が上屋敷を構えていたのよ。今でも田安門と清水門は残っているわね。
都区次:桜の時季に「千鳥ヶ淵」が話題になりますが、何処をいうのですか?
江戸璃:田安門と右手南側の半蔵門の間の堀を言うのよね。
都区次:それでは田安門から中に入ってみましょう。まず見えるのが日本武道館、少し行くと科学技術館。さらに行くと東京国立近代美術館、その右に同美術館の工芸館。この工芸館は赤レンガ造りで由緒ありそうですが?

東京国立近代美術館・工芸館








江戸璃:この北の丸公園は戦前まで近衛師団の兵営地があって、今の工芸館は近衛師団司令部だったのよ。昭和初期まであった正午を知らせる号砲の「ドン」はこのあたりで打たれたのよ。
都区次:そうなんですか。「ドン!」という感じですね。
江戸璃:「ビックリしたなー、もう」私が居る品川のゼームス坂あたりでも聞こえたぐらいだから、そうでしょう。

(千鳥ヶ淵)
落花一片千鳥ヶ淵をうち渡る   山口青邨
 
(東京国立近代美術館工芸館)
旧近衛師団司令部石蕗の花  山尾かづひろ