2011年2月6日日曜日

私のジャズ(8)

「私のジャズ」の原点、アート・ブレーキー
松澤 龍一


Jazz-Messengers au Club Saint-Germain
 (RCA BVCJ-8608)CD












「私のジャズ」の原点である。小学生の頃は、ポール・アンカ、ニール・セダカ、エルビス、コニー・フランシスなどを聴いていた。ラジオから流れるアメリカンポップスに胸を躍らせていた。しばらくしてレコードプレーヤーなるものを買った。生まれて初めて買ったレコードが、リッキー・ネルソンの「トラヴェリングマン」と「ハローメリールウ」が入っているドーナツ盤である。普通はここからビートルズと言うのが順当な流れだが、なぜかそうならなかった。ビートルズには魅力を一切感じなかった。

パリのクラブ、サンジェルマンで吹き込まれたアート・ブレーキーとジャズメッセンジャーズの「モーニン」の感動は忘れられない。中学の二年生の頃のことである。何回も何回も聴いた。リー・モーガン、ベニー・ゴルソン、ボビー・ティモンズのソロを暗記して空で唄えるまでになった。しまいにジャケットはボロボロ、レコードは針音の方が多くなった。後年、CDを買ってこのレコードは捨ててしまった。実況録音盤であるが、これほどまでに現場の雰囲気を伝えた演奏は無いと思う。アート・ブレーキーの単純なツービートのドラムに演奏者も聴衆の乗せられまくっている。ボビー・ティモンズのピアノソロの途中で、聴きに来ていた女性が「Oh Lord have mercy !(おお、主よあわれみを!)」と 絶叫する。

ここから私のジャズ遍歴が始まった。

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追加掲載(120104)
アート・ブレーキーはやっぱりモーニン。