2011年2月20日日曜日

私のジャズ(10)

ブラウニーは最初からブラウニーであった、クリフォード・ブラウン
松澤 龍一

(CLIFFORDBROWN THE BEGINNING AND THE END
(COLUMBIA CK66491)CD












クリフォード・ブラウン(愛称 ブラウニー)の最初と最後のレコーディングをカップリングしたCDである。最初のレコーディングはCRIS POWELL AND HIS BLUE FLAMES と言うグループの一員として吹き込まれたもので、どう聴いてもジャズではない。安っぽいラテン音楽バンドである。軽快なラテンのリズムによって I COME FROM JAMAICA と言った歌が始まる。その後、ギターとピアノのソロが続き、クリフォード・ブラウンのトランペットがソロをとる。出だしの数音を聴いて参ってしまった。ラテンリズムの奥から鳴り響くトランペットはまぎれもなくクリフォード・ブラウンだ。誰が聴いてもクリフォード・ブラウンだ。この1分にも満たないソロは涙が出るくらい素晴らしい。やはり、クリフォード・ブラウンは最初からクリフォード・ブラウンだった。最後のレコーディングはフィラデルフィアでのライブを録音したものである。マックス・ローチやソニー・ローリンズとの共演を知っている耳には、この時の共演者は少し物足りないが、高速で吹きまくるパーカーのビ・バップの名曲ドナ・リーはすごい。録音されたのは1956年6月25日、この数時間後、日付が変わって6月26日、クリフォード・ブラウンは共演者のリッチー・パウエル(バッド・パウエルの弟)と一緒に交通事故でこの世を去る。享年25歳であった。 

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追加掲載(120104)
クリフォード・ブラウンの最高のバラード・プレイ、 Tenderly である。