内山思考
二百里の旅より帰り豆の飯 思考
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タケノコから竹へ |
「ああ、おいしかったあ」と熱いお茶を最後に一啜りしてから、食べる前に写真を撮って置けば良かったと後悔した。先週もそうだった。市外梶賀町の名産「小サバの炙り」がやっと手に入った嬉しさにまず食べてしまったのである。空腹を満たすのが先で、写メールで撮ってコラムに使おうとする意欲が飛んでしまっているのである。もっとも、どれだけ美味であろうが、写真だけ見せられても有り難くないだろうけど。
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力漲る楠の大樹(尾鷲神社) |
最初に出たのはT子さん、沖縄箏の名手である。昨年は会えなかった。次がK子さん、いつも静かでやさしい笑みを絶やさない人だ。三人目がY子さん、今帰仁で食堂を経営している。「てびち煮つけ」「てびちおつゆ」「てびちそば」「三枚肉そば(大)」「三枚肉そば(小)」などのお品書きが壁に貼られていたのを思い出す。姉御肌のS子さんはまとめ役である。元気一杯の声の後ろで柱時計のものらしい時報が聞こえたので、反射的に僕も受話器を持ったまま壁を見ると、時計は丁度午後8時を指していた。