■ 俳枕 江戸から東京へ(153)
山尾かづひろ 読む⇒
■ 尾鷲歳時記(150)
内山 思考 読む⇒
2013年12月8日日曜日
俳枕 江戸から東京へ(153)
山手線・日暮里(その53)
根岸(上根岸82番地の家(37)「子規庵」)
文:山尾かづひろ
都区次(とくじ):諏訪台通りの「富士見坂」はけっこう人気があるのですね。次はどこへ案内してくれますか?
江戸璃(えどり):次は浄光寺の隣のお寺の養福寺へ行くわよ。桜の木を門の左右に配した下を潜ると、この辺では珍しい仁王門が見られるのよ。このお寺は旧跡が多いのよ。まず鐘楼の周辺に
鐘楼と談林派句碑雪ばんば 冠城喜代子
江戸璃:雪の碑と月の碑を両側に配して談林派の始祖西山宗因の句碑があるのよ。墓地の方へ行ってみましょう。博文館の創始者・大橋佐平の墓があるのよ。
都区次:博文館?
江戸璃:明治時代に日本最大の出版社として隆盛を誇ったのよ。戦後は経営不振で規模を縮小しっちゃったけどね。この時季になると都区次さんも書店とか文具屋で「博文館の日記」を見たことがあるでしょう?
都区次:あります。あります。あの会社ですか。
江戸璃:博文館の大橋佐平とその一族は養福寺の大檀越でね、戦災に遭った寺の再建に貢献したのよ。
眼ざましと時同じゅうし冬あかね 長屋璃子(ながやるりこ)
焼藷を二つに割って路地曲る 山尾かづひろ
根岸(上根岸82番地の家(37)「子規庵」)
文:山尾かづひろ
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養福寺仁王門 |
都区次(とくじ):諏訪台通りの「富士見坂」はけっこう人気があるのですね。次はどこへ案内してくれますか?
江戸璃(えどり):次は浄光寺の隣のお寺の養福寺へ行くわよ。桜の木を門の左右に配した下を潜ると、この辺では珍しい仁王門が見られるのよ。このお寺は旧跡が多いのよ。まず鐘楼の周辺に
鐘楼と談林派句碑雪ばんば 冠城喜代子
江戸璃:雪の碑と月の碑を両側に配して談林派の始祖西山宗因の句碑があるのよ。墓地の方へ行ってみましょう。博文館の創始者・大橋佐平の墓があるのよ。
都区次:博文館?
江戸璃:明治時代に日本最大の出版社として隆盛を誇ったのよ。戦後は経営不振で規模を縮小しっちゃったけどね。この時季になると都区次さんも書店とか文具屋で「博文館の日記」を見たことがあるでしょう?
都区次:あります。あります。あの会社ですか。
江戸璃:博文館の大橋佐平とその一族は養福寺の大檀越でね、戦災に遭った寺の再建に貢献したのよ。
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西山宗因の句碑 |
眼ざましと時同じゅうし冬あかね 長屋璃子(ながやるりこ)
焼藷を二つに割って路地曲る 山尾かづひろ
尾鷲歳時記(150)
師走雑感
内山思考
忘年会の顔の一つになり切りぬ 思考
光陰矢の如し。12月も5分の1が過ぎ、すぐ4分の1、3分の1と分母が少なくなり行くのは、いつもながらにどこか切ない。明日は(7日)大阪の某ホテルで、関西現俳協による忘年会アンド句集祭が催される。僕も今夏、第三句集「やさしい下駄」を刊行したので参加させていただく予定。10時ごろに車で尾鷲を立つつもりでいる。それでもずいぶん早く会場に着くだろう。年に一度、諸先生や先輩方にまみえる機会であるから、大いに楽しみである。柿本多映さんにも久し振りに会えるかも知れない。
ここから話の腰をみずから折ってしまうのは残念だが味覚の話題で、一昨日、知人に牡蠣を沢山貰った。あまりに山盛りなので、違う知人にお裾分けして持って帰ったら、妻が牡蠣飯を炊いてくれた。これがうまかったのなんの、三合の米に牡蛎の身を三十個入れたそうで、残りの二十個ほどは蒸して食べたが、夢中のあまり写メールを撮り忘れてしまったのは残念だった。
話はまた飛んで、実は今月半ばで炭焼きのバイトを辞めることになった。妻の恵子と二人でしばらく訪琉する計画をたて、そのために体を自由にする必要が生じたのである。思えばちょうど十年働かせて貰ったことになる。他の仕事や妻の通院のためとは言え、就労日時の一定しない男を、機嫌よく使ってくれた親方夫婦には心から感謝している。通い慣れた山の窯も、芳しい煙りの匂いも、ウバメガシの手触りももう僕には無縁のものとなってしまう。あんな記憶こんな思い出、いろいろ考えると感傷的になりそうなので、残された数日をいつも通りに過ごそうと思っている。
そしてもう一つ違う話、15日に東京で周美(かねみ)さん黒坂さんのコンサートがあり、恵子が従姉二人を誘って聴きに行くことになった。本当は僕もついて行きたい気持ちでいっぱい。ああ、周美さんの歌う「星めぐりの歌」はきっと素晴らしいに違いない。
内山思考
忘年会の顔の一つになり切りぬ 思考
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自然の火の温かさは 心身を癒やしてくれた |
光陰矢の如し。12月も5分の1が過ぎ、すぐ4分の1、3分の1と分母が少なくなり行くのは、いつもながらにどこか切ない。明日は(7日)大阪の某ホテルで、関西現俳協による忘年会アンド句集祭が催される。僕も今夏、第三句集「やさしい下駄」を刊行したので参加させていただく予定。10時ごろに車で尾鷲を立つつもりでいる。それでもずいぶん早く会場に着くだろう。年に一度、諸先生や先輩方にまみえる機会であるから、大いに楽しみである。柿本多映さんにも久し振りに会えるかも知れない。
ここから話の腰をみずから折ってしまうのは残念だが味覚の話題で、一昨日、知人に牡蠣を沢山貰った。あまりに山盛りなので、違う知人にお裾分けして持って帰ったら、妻が牡蠣飯を炊いてくれた。これがうまかったのなんの、三合の米に牡蛎の身を三十個入れたそうで、残りの二十個ほどは蒸して食べたが、夢中のあまり写メールを撮り忘れてしまったのは残念だった。
話はまた飛んで、実は今月半ばで炭焼きのバイトを辞めることになった。妻の恵子と二人でしばらく訪琉する計画をたて、そのために体を自由にする必要が生じたのである。思えばちょうど十年働かせて貰ったことになる。他の仕事や妻の通院のためとは言え、就労日時の一定しない男を、機嫌よく使ってくれた親方夫婦には心から感謝している。通い慣れた山の窯も、芳しい煙りの匂いも、ウバメガシの手触りももう僕には無縁のものとなってしまう。あんな記憶こんな思い出、いろいろ考えると感傷的になりそうなので、残された数日をいつも通りに過ごそうと思っている。
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周美さんから届いた コンサートチケット |
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