■ 俳枕 江戸から東京へ(239)
山尾かづひろ 読む⇒
■ 尾鷲歳時記(236)
内山 思考 読む⇒
2015年8月2日日曜日
俳枕 江戸から東京へ(239)
寄居町少林寺
文:山尾かづひろ
江戸璃(えどり):早いものね、もう8月よ。この時期になると東京から「ねぶた祭」を見に行く人が結構いるのよね。
妖しくも神々しくもなし昼竿灯 小林宗吾
竿灯を仰ぎゐて空忘れゐる 山田陽洞
竿灯や秋田男はこれに在り 卜部一秋
竿灯の傾ぎどよめく大観衆 内海よね女
竿灯の撓りをきかす高さかな 山尾嵐風
祭たけなは竿灯こぞり総立ちに 山本都風
都区次(とくじ):ところで前回は向島百花園でしたが今回はどこですか?
江戸璃:私はね、この時期になると東京の水源が気になるのね。というわけで私の独断と偏見で埼玉県寄居町少林寺とその下にある荒川水系の円良田湖(つぶらたこ)へ行くわよ。
歯朶涼し堂の脇より山路に 戸田銀汀
老鶯に耳を押へし羅漢あり 堂前杯芽
しずかさや土用太郎の山の湖 内海よね女
滴りの絶えず音して庫裏の昼 藤井青杖子
緑陰に腕枕して一羅漢 荒蒔蟻舟
手枕をして寝仏の涼しけれ 品田秀風
夏桑に馬頭観音埋もれし 藤井扇女
江戸璃:昔は池袋から東上線で行ったのよね。
思ひごと繰り返すべし水澄みぬ 戸田喜久子
江戸璃:今は座って行きたいから遠回りでも秩父まわりの西武鉄道のレッドアロー号で行くわよ。
老鶯や御手を上げる釈尊像 油井恭子
新涼や湖の青さの和みかな 甲斐太惠子
碑の坂かさかさと踏む椎落葉 近藤悦子
結界の千の荒神木下闇 高橋みどり
結葉や羅漢面輪の豊なり 石坂晴夫
涼しさや笹の葉蔭の羅漢像 白石文男
江戸璃:この円良田湖も気候不順のゲリラ豪雨があったとかで水が満々としていたわね。これで東京の水不足も心配無いわね。帰りもレッドアロー号でゆったり帰るわよ。
花芒山みちにあり林道に 長屋璃子
印結ぶ羅漢の風化草いきれ 山尾かづひろ
文:山尾かづひろ
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少林寺本堂 |
江戸璃(えどり):早いものね、もう8月よ。この時期になると東京から「ねぶた祭」を見に行く人が結構いるのよね。
妖しくも神々しくもなし昼竿灯 小林宗吾
竿灯を仰ぎゐて空忘れゐる 山田陽洞
竿灯や秋田男はこれに在り 卜部一秋
竿灯の傾ぎどよめく大観衆 内海よね女
竿灯の撓りをきかす高さかな 山尾嵐風
祭たけなは竿灯こぞり総立ちに 山本都風
都区次(とくじ):ところで前回は向島百花園でしたが今回はどこですか?
江戸璃:私はね、この時期になると東京の水源が気になるのね。というわけで私の独断と偏見で埼玉県寄居町少林寺とその下にある荒川水系の円良田湖(つぶらたこ)へ行くわよ。
歯朶涼し堂の脇より山路に 戸田銀汀
老鶯に耳を押へし羅漢あり 堂前杯芽
しずかさや土用太郎の山の湖 内海よね女
滴りの絶えず音して庫裏の昼 藤井青杖子
緑陰に腕枕して一羅漢 荒蒔蟻舟
手枕をして寝仏の涼しけれ 品田秀風
夏桑に馬頭観音埋もれし 藤井扇女
江戸璃:昔は池袋から東上線で行ったのよね。
思ひごと繰り返すべし水澄みぬ 戸田喜久子
江戸璃:今は座って行きたいから遠回りでも秩父まわりの西武鉄道のレッドアロー号で行くわよ。
老鶯や御手を上げる釈尊像 油井恭子
新涼や湖の青さの和みかな 甲斐太惠子
碑の坂かさかさと踏む椎落葉 近藤悦子
結界の千の荒神木下闇 高橋みどり
結葉や羅漢面輪の豊なり 石坂晴夫
涼しさや笹の葉蔭の羅漢像 白石文男
江戸璃:この円良田湖も気候不順のゲリラ豪雨があったとかで水が満々としていたわね。これで東京の水不足も心配無いわね。帰りもレッドアロー号でゆったり帰るわよ。
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円良田湖 |
花芒山みちにあり林道に 長屋璃子
印結ぶ羅漢の風化草いきれ 山尾かづひろ
尾鷲歳時記(236)
昭和の夢
内山思考
どこまでが大阪の空夾竹桃 思考
ラジカセの中のビリー・ホリデイに歌ってもらいながら、陶枕に頭をのっけて昼寝していると、シャラリーン、メールの着信音がした。えーとケータイはどこかいな。持ち上げようとする瞼まだ重く、再びウトウトとまどろむ。夢か妄想かわからぬ映像に薄々と包まれ、これが僕の一番好きな時間だ。ああ極楽。しばらくしてようやく現(うつつ)に戻る気になり、二度三度強くまばたいてからどっこいしょと体を起こした。ここで深呼吸して肢体小休止。
さて何をするのだったか。そうそうケータイだ。肩掛けカバンを引き寄せて取り出すガラケー、相変わらずスマホ知らずで、昔から文明の後方からノコノコついて行くのが性に合うと言うか何というか。発信は岩手の藤沢さんだった。先日送った書籍パックのお礼の返事である。中身は以前に書家の六車明峰さんが書いて下さった僕の句「仏像や骨の如くに雪古び」の色紙と、「北山河俳画集」の二つ。
こないだ色紙の写メを送ったら、句はともかく書体がお気に召した様子だったので貰って頂こうかなと思ったのと、今月になって北さとり「大樹」元主宰のお宅へたびたび伺う機会があり、それは虚子と四Sの寄せ書き掛け軸や、芦田秋双、北山河らの俳画多数を伊丹市の柿衞文庫へ寄贈する為の作業なのだが、もう無いと諦めていた「山河俳画集」が十冊ほど見つかったので、古文書研究が専門の藤沢さんなら楽しんで貰えるのでは、と考えたのである。
寄贈の方は昨日、片道四時間かけて伊丹へ出掛けようやく完了した。自分がやらねば、の責任感が抜けた空虚へ、祖父の代からの恩返しが出来たような安堵感が押し寄せ、他に用も無い今日は、昼寝を満喫していると言うわけである。もう少し寝ます・・・。
内山思考
どこまでが大阪の空夾竹桃 思考
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寝たまま撮した正面 |
ラジカセの中のビリー・ホリデイに歌ってもらいながら、陶枕に頭をのっけて昼寝していると、シャラリーン、メールの着信音がした。えーとケータイはどこかいな。持ち上げようとする瞼まだ重く、再びウトウトとまどろむ。夢か妄想かわからぬ映像に薄々と包まれ、これが僕の一番好きな時間だ。ああ極楽。しばらくしてようやく現(うつつ)に戻る気になり、二度三度強くまばたいてからどっこいしょと体を起こした。ここで深呼吸して肢体小休止。
さて何をするのだったか。そうそうケータイだ。肩掛けカバンを引き寄せて取り出すガラケー、相変わらずスマホ知らずで、昔から文明の後方からノコノコついて行くのが性に合うと言うか何というか。発信は岩手の藤沢さんだった。先日送った書籍パックのお礼の返事である。中身は以前に書家の六車明峰さんが書いて下さった僕の句「仏像や骨の如くに雪古び」の色紙と、「北山河俳画集」の二つ。
こないだ色紙の写メを送ったら、句はともかく書体がお気に召した様子だったので貰って頂こうかなと思ったのと、今月になって北さとり「大樹」元主宰のお宅へたびたび伺う機会があり、それは虚子と四Sの寄せ書き掛け軸や、芦田秋双、北山河らの俳画多数を伊丹市の柿衞文庫へ寄贈する為の作業なのだが、もう無いと諦めていた「山河俳画集」が十冊ほど見つかったので、古文書研究が専門の藤沢さんなら楽しんで貰えるのでは、と考えたのである。
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左側、斜めは腹筋台 |
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