松澤 龍一
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songs for a Raney day/Sue Raney (Capitol ST 1335) のCDの解説書 |
梅雨に入ったようだ。これから毎日鬱陶しい日々が続く。こんな季節にうってつけのアルバムがある。
songs for a Raney day と題されたヴォーカルのアルバムである。雨の日で Raney day ? rainy day のミススペルと思われるかも知れないが、ミススペルでは無い。唄っている歌手の名、Sue Raney の Raney に引っかけている。英語の駄洒落と言えば、そうも言える。雨に因んだ唄を唄っている。曲と曲の間には、時折、雨音とか雷鳴を挟んだりして、雨の日の効果をたっぷりと利かせている。
スー・レイ二―と言う女性歌手、よっぽどのジャズ・ボーカルのファンでなければ知らないと思う。私も知らなかった。songs for a Raney day と言うアルバム名につられて買ったCDである。調べてみたら1940年カンザス州生まれとのことで、もうかなりなお歳である。アメリカのクラブなどでは現役で活躍中らしい。ユーチューブにもクラブでのライブがいくつか載っている。
このアルバムを吹き込んだのは彼女が二十歳ちょっと前の頃のはず。初々しい声に、ビリー・メイ楽団のフルートとトロンボーンとリズム・セッションだけと言う洒落た伴奏が合っている。但し、如何せん固い。ビリー・ホリデイにしろペギー・リーにしろデビューの頃は唄に固さがあったが、これから上手くなりそうな予感が感じられた。スー・レイ二―にはそれが感じられない。
アルバムの最後の曲、セプテンバー・イン・ザ・レインを聴いてみよう。日本では雨の季節は6月だが、アメリカでは9月なのかも知れない。
やっぱり雨の唄はこれに限る。