2012年10月28日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(95)

三田線に沿って(その10)炭団坂
文:山尾かづひろ 

炭団坂









区次(とくじ): 次は「炭団(たどん)坂」へ行ってみましょう。
江戸璃(えどり): それでは、この石川啄木の「喜之床」跡から春日通りを西に少し歩くと信号があるので渡るわよ。真砂(まさご)図書館が見える方の道を入って行って、図書館の先に見える階段が「炭団坂」よ。

 図書館へ遊芸師匠が秋袷  大森久実

都区次: この坂の名前が変わっているのですが、どういう由来ですか?
江戸璃: 江戸時代から「炭団坂」と呼ばれていてね。現在、この坂は階段になっているけれど、元々は急なすべりやすい坂道で、坂に沿って炭団の店があったとか、あるいは、この坂が切り立ったような急な坂で、通行の人が足をすべらせて、転落して泥だらけの真っ黒けになったことからそう呼ばれたそうよ。

明治期の炭団坂









ことさらに帰路ゆっくりと十三夜 長屋璃子(ながやるりこ)
階段にコスモス越の立ち話 山尾かづひろ