2013年7月7日日曜日

尾鷲歳時記(128)

狩りの話
内山思考

こことここ切れと妻いうパイナップル  思考

これはお持ち帰りの分














先週まではそうでもなかったのに、一度に蒸し暑い日々が始まった。もう扇風機だけでは追いつかなくなったのか、妻はとうとう二階で冷房生活に入った。彼女の体のことを考えると、夏日を避けてそうやってジッとしているのがいいのだろうが、外で遊ぶのも大事な運動と言うことで、明日は友人たちと「ブルーベリー狩り」なるものへ行く手はずになっている。僕も一緒。でも、「狩り」という言葉は興味深い。

果物やキノコ、桜や紅葉など季節の風物の語尾へそれをつけると採取したり観賞して楽しむ行動を意味するわけだ。英語のHUNT(ハント)ともちょっと違う。例えば「ガールハント」を和訳したらかなり怪しげな雰囲気になる。話を戻して、実は僕は果物をたくさん食べるということをしない。その中の何を好むかともし問われても、ちょっと返答に困るぐらいである。しいて言えば、梨だろうか。それにしたところで一個食べれば充分だ。林檎しかり。かといって嫌いなわけでは決してない。

要はそれでもって腹を満たそうとは思わないということ、あ、いい例えを思いついた。果物を昔は「水菓子」と呼んだらしいが、普段、お菓子をたべて満腹になろうとは思わない、そんな感覚だろうか。ところが、今回の「狩り」を発案し誘ってくれたご婦人は、小柄な人なのに、イチゴ狩りなどに行くとイチゴ(一度)に四十個から五十個は軽いと事も無げに言って微笑む。「それが食べられるのよ思考さん」と。
ブルーベリー効果で
目許(めもと)涼しげ?な一行

僕はその話を聞いたとき、彼女の胃袋がイチゴでいっぱいになっているところを想像してしまった。「あと砂糖を食べてレモンを舐めて、飛んだり跳ねたりしたらお腹の中でジャムが出来ますね」と言った事だった。でその後、お昼はどこで食べます?と聞かれたので、僕はフクロウみたいに首を大きく傾けて、「ハ、ハア」と答えるしかなかったが、さてどんな「ブルーベリーデー」になることだろう。