内山思考
ゆく秋の雨の烏として生きる 思考
うどん屋さんの前は熊野灘 |
猛暑が収束したと思ったら、夏の少雨を癒やすように台風が相次いでやって来る。この文を書いている午後も、強い雨が降ったり止んだりを繰り返しているが、原因は太平洋上を近づいてくる台風27号と28号である。本当にしばらく雨ばかりだ。昨日の朝、原稿を届けに新聞社に行ったら記者のUさんが「国道が崩れたそうだよ」と言って入れ違いに出て行った。
毎年、屋久島と年間降雨量を争う土地柄である。地盤も固くなかなか崩落など起きないはずだし、第一、災害が出るほど降ってないじゃないかと首を傾げたが、テレビのニュースを見ると確かに法(のり)面が崩れて道路をふさいでいた。本当の原因は何なのだろう。午前8時頃というからよく人的災害に繋がらなかったものだ。
幸い、この区間は別のルートが近年に開通したばかりなので、交通が遮断される心配はない。新ルートと言えば、尾鷲―熊野「旧木本(きのもと)」間も先月開通し、今まで4、50分かかっていたところを20分台で通行出来るようになったのは嬉しい衝撃だった。
熊野市内に勤め先のある娘は、20分余計に朝寝坊が出来ると大いに喜んで、いつもの時間に起きてこなくなった。しかし、それが当たり前になってしまうと、やがて便利を便利と思わなくなるだろう。人間とはそういうものだ。僕は今朝、その道路を通って熊野へ昼食を食べに行こう、と妻を誘った。花の窟(いわや)神社の近くに美味しい讃岐うどんの店があるのだ。
沖縄で買った貝殻を眺めて雨ごもり |