内山思考
春山の大からくりを廻す水 思考
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ある朝の景 |
今朝、夢を見た。ザワザワと騒がしい部屋に自分は居て、右側に黒板(例の濃い緑色)があり沢山の人が席を立ち、あるいは固まって雑談している。学校の教室のようだ。見知った顔が結構いるとその時は感じたが、今は誰一人思い出せない。しばらくすると背の高い短髪の男が壇に上がり、「今日は内山思考さんの講座があります。内山さんどうぞ」とぶっきらぼうに告げて消えた。
そうだったのか、と僕は黒板の前に立って話し始めようとしたら、資料が手元に無い。あ、あれを忘れたと悔やむ。でもまあいいや、一時間ぐらいなら何とかなる、と話し始めるところなど、夢とは言え大した度胸ではないか。
まずは近況を交えて自己紹介をし、日常生活の時間と空間を切り取って考えると興味深い、などと蘊蓄の引き出しをかき回して説明するが、誰も聞いていず私語が多い。手を叩いて注目を促そうとしたが、待てよ、それよりはと閃き、大声で「では今から即吟十句をご覧に入れます。どなたか手を挙げて下さい」と言うと、やや静まった場内に何人かの挙手を得た。
僕は中央にいる髪の長い少女を指し「ハイ貴女、貴女は何月生まれ?」と問うと少女は少しはにかんだ様子で「6月です、18日です」と答えた。間髪を入れず「六月の・・・風新しき世界かな」「喧騒の六月少女美しき」「六月や飯食いに行く町外れ」と声を張り上げて詠んでゆく。兎に角、風景を思い浮かべて片っ端から五・七・五にして行くのだ。
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一昨年、奈良公園で |