2015年7月5日日曜日

尾鷲歳時記(232)

飲み物について 
内山思考 

蹴球を言語としたり汗の民   思考

冷水出し
煎茶がいける













ワールドカップでのサッカー日本女子の勇猛な戦いぶりは見事なもので、これを書いている時点で最終的な結果は不明だが、充分に列島の庶民を力づけているに違いない。僕もその一人だ。テニスの錦織圭選手の存在も誠に頼もしく感じている。本当はスポーツ以外にだってそんな要素が欲しいところだが、急に思い浮かばないのは甚だ残念な昨今である。

今回は飲み物の話、運動選手は消耗した水分を補う為に、競技中によくドリンクを飲んでいる。昔はいざ知らず、近年は多分普通の水ではなく、俗に言うスポーツドリンクが主流のようである。個人に合わせたスペシャルドリンクもあるらしい。スポーツではないが、夏場の炎天下に備長炭の原木を伐り出しに行っていた頃は、麦茶が一番だった。

Tシャツを脱いで絞ればザーッと流れるほど汗をかくと、時には3リットル以上も水分をとる。そんな時は薄くても甘さや酸味があるとどこかあと口が良くない。水はダイレクトだし緑茶は飲み過ぎると胃が悪くなる。山を下りてウバメガシ満載のトラックで走り出すと、今度は道端の販売機の冷えたコーラが命の水に思えた。コンディションによって欲求と効果が異なると言うことだろう。

昔、母親が山仕事から汗だくで帰って来て、装束のまま砂糖水を作って飲んでいたのを思い出す。「あー美味しい」の声も耳に残っている。

日本一静かな村の砂糖水   思考 

青木健斉作の茶杓
人類の水分摂取百態、マラソンの給水所での緊迫した給水風景は競技の一つのアクセントにもなっている。動中の刹那は例えば陸上リレーのバトン渡しの緊張感にさも似たり。僕は錦織選手が、ゲームの合間にセンターコートの横のベンチに座って、薬缶から直接水を呑む姿も悪くはないと考えるが、多分そんな映像を見る機会は無い。腕が疲れるし噎せでもしたら大変だ。安謝のヒロコさんの電話では梅雨が開けた沖縄は毎日暑いそうだ。尾鷲の梅雨はもうしばらく続くだろう。