2012年6月10日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(75)

田町駅西口(その1)
文:山尾かづひろ

 
慶応三田キャンパス









都区次(とくじ): 今日の6月10日は暦の上で入梅ですね。今回は三田の最寄駅の田町駅周辺を歩いてみましょう。
江戸璃(えどり): JR田町駅の西口を出たら目の前の第一京浜(国道15号)を渡って真っ直ぐな細い道に入るわよ。この道は「慶応仲通り」と言って慶応大学のある桜田通りへ抜けられるのよ。「慶応通り振興会」という商店会の看板があるからすぐに分るわよ。突当たりを右へ曲ると路地脇に小さな植込みがあって「水野監物(みずのけんもつ)中屋敷跡」と立札が見えるわね。
都区次: 三河国岡崎藩主水野氏の中屋敷跡ですか?
江戸璃: 現在は石灯籠しか残っていないけれど、吉良邸に討ち入った赤穂浪士の内の9名が幕府の沙汰を待つためにお預けになってね。結果として元禄16年2月4日(1703年3月20日)この屋敷で切腹したのよ。
都区次: 「慶応仲通り」には慶応大学の学生相手の店が多いのですか?
江戸璃: 昔は食堂や制服テーラーが多くあったけれど、キャンパスが分散化したのか様相が変わって、付近のサラリーマン相手の酒場が多くなっちゃったわね。今は制服テーラーも一軒しか残ってないわよ。

慶応仲通り













義士九人ここに果てたり梅雨兆す 長屋璃子(ながやるりこ)
慶応の制服テーラー梅雨に入る 山尾かづひろ