2012年8月5日日曜日

列島春秋

地区別現代俳句歳時記
「現代俳句」平成24年8月号より

◆中北海道 つぎはぎの平和で良いか青胡桃    大場 榮朗
◆東北海道 十勝産と聞かれ新馬鈴薯のでかい顏  笹原 瑞子
◆南北海道 白昼を沖に秋くる以下省略      佐藤 晴峰
◆北北海道 共に生き共に逝きたり原爆忌     清治 法子


◆青森   両腕も両脚も瓦礫八月逝く      徳才子青良
◆岩手   噴水に見えかくれしてじゃじゃめん店 三田地節子
◆秋田   カンナの向こう海の光は永久に    鈴木 修一
◆宮城   お葛掛けは妣の定番盆近し      佐々木和子
◆山形   前略のあとが続かず雲の峰      木嶋 玲子
◆福島   日にとろい青大将おまえ寝不足か   伊藤ユキ子


◆茨城   筑波嶺の溢れず涸れず岩清水     菊田 徳王
◆栃木   盆踊り闇のうらがわ風を溜め     和田 璋子
◆群馬   象潟は遠し訪いたし合歓の花     山田 照子
◆埼玉   蝉時雨眠りたいので眠る家      越川ミトミ

◆千葉   鶴ともゼロ戦とも八月の折り紙    細野 一敏
◆東京都区 桃届く十八歳のままの仲       小高 沙羅
◆東京多摩 物忘れするまで生きて遠花火     清水万ゆ子
◆神奈川  滴りや相模横山九里の土手      加藤 房子


◆富山   かなかなは日暮を朗唱しています   小池 弘子
◆福井   夏落葉病める地球へ手紙かな     西又 利子
◆石川   鬼となる御陣乗太鼓能登の夏     森  悦子
◆甲信   連山の影濃くなりぬ蕎麦の花     山下  廣
◆新潟   月入れて三尺玉の果てにけり    長谷川智弥子


◆静岡   乳房持つ埴輪大夕焼の中       石橋 朝子
◆愛知   八月をはみ出してゐる天守閣     津嶋  和
◆岐阜   晩夏なり乗鞍岳のどっしりと     水口 武彦
◆三重   新涼や島へ大きく舵をきり      平賀 節代


◆滋賀   木曽どのの粟津が浜や日雷      長尾 向季
◆京都   水引草鎖で閉まるくぐり門      山本  正
◆大阪   ふるさとは風でつながる
赤とんぼ   佐藤 公子
◆兵庫   山開き女の子の土産富士の鈴     川嶋 芳重
◆奈良   原爆忌三輪山黒く鎮もりぬ      上藤おさむ
◆和歌山  雨に昏る納戸のとぼそ蚊遣香     宇田 篤子


◆鳥取   はまなすの南限といふ濃紫      中田 七重
◆島根   稲葉ずれ銅鐸幽かに共鳴す      柏谷 千恵
◆岡山   栄転の歩幅となりし朴の花      花房八重子
◆広島   被爆アオギリ包みきれない傷正中に  谷口 道子
◆山口   蝉しぐれ白船句碑の踞る       前田 雅治


◆徳島   刺青の龍の寝てゐる蚊帳の中     椰子 次郎
◆香川   曼珠沙華空母誕生寺のまわり     成瀬 雄一
◆愛媛   踊る孫野球サンバに親子の絆     加藤 公子
◆高知   涼しげな男出てくる夢二展       池  長子


◆福岡   筑後川天の川双子のようにおしだまる ますだよりこ
◆長崎・佐賀 精霊流しフライパンに跳ねる肉    中尾よしこ
◆熊本   千人灯篭老いも若きも女なり      伊藤  幸
◆大分   風を切る扇子踊りの輪に入り      谷川 彰啓
◆宮崎   親にらむこと
増やしいる夏休み     中島 偉夫
◆鹿児島  ばっさりと髪切ってみる原爆忌     春田理恵子


◆沖縄  これよりは入ってはならぬまんじしゃげ 中田みち子