地区別現代俳句歳時記
「現代俳句」平成24年8月号より
◆中北海道 つぎはぎの平和で良いか青胡桃 大場 榮朗
◆東北海道 十勝産と聞かれ新馬鈴薯のでかい顏 笹原 瑞子
◆南北海道 白昼を沖に秋くる以下省略 佐藤 晴峰
◆北北海道 共に生き共に逝きたり原爆忌 清治 法子
◆青森 両腕も両脚も瓦礫八月逝く 徳才子青良
◆岩手 噴水に見えかくれしてじゃじゃめん店 三田地節子
◆秋田 カンナの向こう海の光は永久に 鈴木 修一
◆宮城 お葛掛けは妣の定番盆近し 佐々木和子
◆山形 前略のあとが続かず雲の峰 木嶋 玲子
◆福島 日にとろい青大将おまえ寝不足か 伊藤ユキ子
◆茨城 筑波嶺の溢れず涸れず岩清水 菊田 徳王
◆栃木 盆踊り闇のうらがわ風を溜め 和田 璋子
◆群馬 象潟は遠し訪いたし合歓の花 山田 照子
◆埼玉 蝉時雨眠りたいので眠る家 越川ミトミ
◆千葉 鶴ともゼロ戦とも八月の折り紙 細野 一敏
◆東京都区 桃届く十八歳のままの仲 小高 沙羅
◆東京多摩 物忘れするまで生きて遠花火 清水万ゆ子
◆神奈川 滴りや相模横山九里の土手 加藤 房子
◆富山 かなかなは日暮を朗唱しています 小池 弘子
◆福井 夏落葉病める地球へ手紙かな 西又 利子
◆石川 鬼となる御陣乗太鼓能登の夏 森 悦子
◆甲信 連山の影濃くなりぬ蕎麦の花 山下 廣
◆新潟 月入れて三尺玉の果てにけり 長谷川智弥子
◆静岡 乳房持つ埴輪大夕焼の中 石橋 朝子
◆愛知 八月をはみ出してゐる天守閣 津嶋 和
◆岐阜 晩夏なり乗鞍岳のどっしりと 水口 武彦
◆三重 新涼や島へ大きく舵をきり 平賀 節代
◆滋賀 木曽どのの粟津が浜や日雷 長尾 向季
◆京都 水引草鎖で閉まるくぐり門 山本 正
◆大阪 ふるさとは風でつながる赤とんぼ 佐藤 公子
◆兵庫 山開き女の子の土産富士の鈴 川嶋 芳重
◆奈良 原爆忌三輪山黒く鎮もりぬ 上藤おさむ
◆和歌山 雨に昏る納戸のとぼそ蚊遣香 宇田 篤子
◆鳥取 はまなすの南限といふ濃紫 中田 七重
◆島根 稲葉ずれ銅鐸幽かに共鳴す 柏谷 千恵
◆岡山 栄転の歩幅となりし朴の花 花房八重子
◆広島 被爆アオギリ包みきれない傷正中に 谷口 道子
◆山口 蝉しぐれ白船句碑の踞る 前田 雅治
◆徳島 刺青の龍の寝てゐる蚊帳の中 椰子 次郎
◆香川 曼珠沙華空母誕生寺のまわり 成瀬 雄一
◆愛媛 踊る孫野球サンバに親子の絆 加藤 公子
◆高知 涼しげな男出てくる夢二展 池 長子
◆福岡 筑後川天の川双子のようにおしだまる ますだよりこ
◆長崎・佐賀 精霊流しフライパンに跳ねる肉 中尾よしこ
◆熊本 千人灯篭老いも若きも女なり 伊藤 幸
◆大分 風を切る扇子踊りの輪に入り 谷川 彰啓
◆宮崎 親にらむこと増やしいる夏休み 中島 偉夫
◆鹿児島 ばっさりと髪切ってみる原爆忌 春田理恵子
◆沖縄 これよりは入ってはならぬまんじしゃげ 中田みち子