2012年9月30日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(91)

三田線に沿って(その6)樋口一葉と文学の接点
文:山尾かづひろ 

五千札の一葉












都区次(とくじ):一葉は小説家として名を残しました。本郷で小説家を志したということですが、どういうキッカケからですか?
江戸璃(えどり): 父親が生前、一葉の文才を見抜いて中島歌子の旧武士階級の子女相手の歌塾「萩の舎(はぎのや)」へ入門させて和歌や古典文学を学ばせたのが土台になっている筈よ。

歌塾へ通ふ一葉新松子 冠城喜代子

都区次: 土台としての話は分りますが、文学を志すだけの衝撃的な出来事はなかったのですか?
江戸璃: 「萩の舎」の親友の三宅花圃(みやけかほ)が坪内逍遥の指導のもとで「藪の鶯」という小説を発表して多額の原稿料を得たりしたのに衝撃を受けて、一葉も「負けちゃいられない」と思ったのがキッカケでしょうね。


「萩の舎」のあった安藤坂









鰯雲文学散歩の五、六人 長屋璃子(ながやるりこ)
表札の旧本郷区石榴の実 山尾かづひろ