2012年11月11日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(97)

三田線に沿って(その12)内藤鳴雪・正岡子規
文:山尾かづひろ

子規 明治23年


 











都区次(とくじ): 前回、炭団坂の寄宿舎・常盤会の舎監として内藤鳴雪の名が出てきましたが、この人は俳句の子規門下の長老となりましたね。子規との関わりはどのようなものだったのですか
江戸璃(えどり): この内藤鳴雪は元々、伊予松山藩の上級藩士だった経歴から常盤会宿舎の舎監になったのね。常盤会宿舎はI字形の二階建の建物で、その宿舎の棟つづきに内藤鳴雪は舎監として一家を構えていてね、明治21年の9月、一高の本科へ進級した子規が常盤会宿舎に入寮してきて、子規に感化された鳴雪が俳句の弟子として入門したのよ。

懐手解いて道順差しにけり 吉田ゆり

都区次:舎監が20歳ほど年下の寮生に入門したわけですか?
江戸璃: 確かに、そうなのだけれど当時、常盤会宿舎に入寮していた河東碧梧桐の書いた「子規を語る」によると、子規に対する鳴雪は寮生を監督する立場とは言っても半ば友人として交際する間柄だったと書いているわね。



万象に休眠態勢冬立てり 長屋璃子(ながやるりこ)
踏み込みし落葉の厚み街路裏 山尾かづひろ