2012年11月25日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(99)

三田線に沿って(その14)河東碧梧桐・高浜虚子
文:山尾かづひろ 

虚子 青年時代












都区次(とくじ): 前回、子規と碧梧桐の出会いのことは知りましたが、俳句の子規門の双璧として並び称されるのが碧梧桐と虚子なのですが、虚子はどのように係わってくるのですか?
江戸璃(えどり): 元々、碧梧桐と虚子とは松山中学でクラスが同じだったのね。ただし、碧梧桐は腕白小僧で、虚子は秀才でクラスで一、二番の主席を争う成積だったものだから、ほとんど交流はなかったのね。当時、流行っていた回覧雑誌をクラスの有志で始めてね、虚子がリーダーになったのよ。ところが虚子は秀才だけど線が弱かったのね。それで他の有志が「字が上手い」からと線の強い碧梧桐を煽てて仲間に引っ張り込んだのよ。それが碧梧桐と虚子の交流の始まりなのよ。

大綿や竹馬の友と言へる仲 佐藤照美

都区次: 碧梧桐と虚子が繋がった切っ掛けは分ったのですが、虚子と子規とが繋がった経緯はどのようなものですか?
江戸璃: 碧梧桐が一高の受験準備のために松山から東京に行って常盤会宿舎へ入寮したわね。そうしたら相棒を失って淋しくなった虚子が碧梧桐に手紙で宿舎の子規を自分に紹介し、同封の和歌原稿と句原稿の添削を頼んでみてくれと懇願してきたのよ。


冬灯店に掲げし古川柳 長屋璃子(ながやるりこ)
小春空遠き友より文届く 山尾かづひろ