内山思考
炭焼きの眠り上手や時鳥 思考
あと一時間ほどで窯出しが始まる |
俳句は別にして、趣味を二つあげるとすれば昼寝と読書だろうか。まず昼寝はご存知、夏の季語にあるぐらいでこれからの暑い季節の大いなる楽しみである。例えば昼下がりに三十分ほど横になると気分爽快、体内バッテリーが充電されたような満足感を覚える。ラジカセで好きな音楽を流しながら(今日はサラ・ヴォーン)悠々寂々?とまどろめば、もう最高の心持ちである。これは通常の夜の睡眠とはまた違った効能があると思う。
昼寝が趣味と言えるようになったのは炭焼のバイトをするようになったここ十年ほどのこと、以前の会社勤めではとても不可能な話だった。備長炭は黒炭と違って、千度以上の灼熱の炭を窯から少しづつ掻き出し、灰を掛ける作業を時には七時間も続ける。しかもそれが深夜から早朝の場合もあり、二十四時間労働と言ってもいいぐらいなのだ。だから親方などは、日中少し暇が出来ると目を閉じて体力温存に努めている。六十年使って来た身体だ。僕もその技を身につけ健康を保ちたいと考えている。
和田悟朗句集『風車』も並ぶ ジュンク堂那覇店 |
地に屈んでおっぱいを与えている母親は1966年久高島で行われた祭事「イザイホー」のナンチュ(巫女)だそうで、彼女は祭りが終わるまで結界から出られぬため、朝早く他の子供に連れて来させた幼子にその場で授乳し、また祭事小屋に戻って行ったという。丸髷を結った若い母親の愁いと慈愛に満ちた表情、そして無垢な子の目を見る度に僕は涙ぐんでしまいそうになる。ちなみに、この日はイザイホーの二日目で撮影日時が12月27日だと言うこともわかった。