2013年12月29日日曜日

尾鷲歳時記(153)

那覇の衣食住
内山思考

年果つる駅の空間擦り切れて  思考

糸満市のイルミネーション
小雨の中アベック多し













僕は今、那覇市安謝(あじゃ)のアパートで妻の恵子と暮らしている。そこは那覇空港から車で30分弱、国際通りから15分、新都心と呼ばれるおもろ町から10分足らずのところ、沖縄本島西側を南北にはしる国道58号線(通称ゴーパチ)沿いから少し坂を上がった住宅街の中である。沖縄はコンクリート製の建物ばかりなので家が混んでいても静かだし、歩いて少し下りていけばいろんな店が集まったスーパーストアがあるから、住むには申し分ない立地条件なのだ。

仮住まいだからなるべく調度品は少なめにと思ってはいるのだが、今回の滞在は2月初旬までなので、すでに揃えてある基本的家電以外にも必要な品物はいろいろ出てくる。それは主に台所用品で、僕たちは百均ストアへ何度か通い、まるで三十数年ぶりの新婚生活を送っているようなもの。腕を組んでハシャぐほどの齢でもないがそこそこの楽しさはある。妻が片手なべと両耳ついた鍋を買おうとするのを見て、内心、一つで用が足りるんじゃないかと思いつつ黙っていたりするのは還暦の分別か。

それにしても沖縄の冬は考えていた以上に寒くて、ジャンバーやマフラー姿もちっとも不自然ではない。ただしそれは雨天曇天夜間に限ったこと、ひとたび雲間から太陽(ティダ)が顔を出すと、今度は汗もかこうかという陽気で、ああここは沖縄なのだなと実感させられる。

晴れれば南国・沖縄
「衣」はそんな風、「住」は先に言ったように頑強な作り、しかも僕たちの部屋は三階だから風音しか聞こえない(毎夜強い風が吹く)。そして「食」であるが尾鷲(三重)と単純に比較すると、店頭に並んでいる食品に肉と揚げ物が多いように感じるのは、あながちクリスマスシーズンのせいでも無さそうだ。こまごまと違いを挙げればたくさんあるけれど、土地が変わればそれは当たり前のこと、息子から「そろそろ飽きてきたのでは」のメールが届くも内山夫婦は気ままな年末年始を迎えようとしているのである。