2014年3月16日日曜日

尾鷲歳時記(164)

ミカンとクニブ
内山思考


俳人は歩き画人は座る春     思考

ミカンいろいろ、右上にブラッドオレンジ









ここしばらく我が家のテーブルにミカンの乗ってない日はない。このあたりは温暖な地域だから、他の果物と違ってミカンは買わずともあちこちから頂くことの方が多いのである。有り難い話だ。物がいっぱいある状態を尾鷲弁では「よれとる」という。「寄れとる」か「縒れとる」かよくわからないが、今のところ内山家には「ミカンがよれとる」のである。

種類はと言うとまず文旦、これだけは先週、伊良湖岬で買ってきた。それから知人に貰ったブラッド・オレンジと日向夏(だと思う)に大きな「晩白柚」、昨日、近所に住む従兄が「取んに来うい」と電話してくれた無農薬の甘夏と、同じく昨昼、リンゴジャムを作った時、仕上げに必要なので路地奥のTさんの畑から頂戴したレモンなどである。いずれも「サッパリサワー」系列の柑橘類だ。これが最近までは「ポンカン」「デコポン」「清見」あたりの濃厚系がよく手に入った。

Tさんはミカン採らないから
レモンもゴロゴロしている
2月3月と風の色合いが知らぬ間に変わるように、ミカンもさまざまな品種が微妙な時間差で市場に出回るのは毎年のことである。沖縄でミカンの話をした時、タカシさんが「クニブ」と言ったので、「ああ九年母のことやね」と相槌を打ったら、違うよ沖縄ではクニブはミカンの総称なんだよ、と教えられた。あの酸っぱいシークァーサーも美味なるタンカンもクニブ、なんだそうである。「今帰仁の城(ぐすく)/しもなりの九年母/しけま乙樽が/ぬきやいはきやい・琉歌より」