内山思考
いろいろな緑の中の新茶かな 思考
今日も逃げている彼 |
先月の末、しばらくは映画鑑賞も出来ないね、ということで封切りしたばかりの「テルマエ・ロマエⅡ」を恵子と観に行った。これはヤマザキマリさんのマンガをもとにした娯楽作品で、古代ローマの建築家が皇帝の求めに応じて温浴施設を造ろうとする内に、現代日本にタイムスリップして風呂文化を学ぶという内容だ。舞台は大スペクタクル風なのに配役はほとんど日本人、しかもカルチャーショックを強調した笑いがふんだんに盛り込まれているからコメディ好きにはちょうどいい。空いているにもかかわらず僕たちは、いつものように離れた(妻は真ん中、夫は一番隅)席で大いに楽しんだ。
当時のローマには実際に公衆浴場があったそうで、ある程度史実に基づいた部分と、他愛の無いエピソードのギャップが第二作に至るヒットの要素となっているのだろう。ギャップと言えば俳句の場合も性質の異なる二つの大きな素材を組み合わせる手段はよく使われる。芭蕉の「古池や」の緊張と緩和、子規の「柿食えば」の味覚と聴覚と言った具合である。
さて映画に関する話はここまでで、劇場やホテルなどの館内には必ず非常口があり、暗くてもわかるように誘導灯がついている。僕はあれを目にするたびに間違いなく
非常口に緑の男いつも逃げ 飛旅子
この本には安らぎがある |