内山思考
夏来たる鶏舎に強き赤玉子 思考
これがトマタマ |
めったに料理を作らない僕だが、たった一つだけ妻や子に「久しぶりにあれ食べたい」とリクエストされるメニューがある。それが「トマタマ」だ。レシピは後にしてひとまず僕の少ないレパートリーを紹介して置こう。ひとつがカレーだ。根がグータラなので学生時代もあまり手の込んだ料理をせず、ご飯だけ炊いてちょっとしたおかずで済ましていたが、ある時ガールフレンドの手製カレーがとても美味しかったので作り方を教えて貰った。
秘訣は材料を全て細かくし、最後にウスターソースと砂糖で味を整えるというもの。小さい頃から母の作る薄いシャブシャブカレー(メリケン粉でとろみをつける)に馴染んでいた僕にはとても新鮮だった。次が焼きそばで、これは母の味そのまま、ソバ麺と魚肉ソーセージとキャベツを塩コショウで炒めて最後にウスターソースで混ぜ合わせたら完成だ。
僕はそれが焼きそばだと思っていたから、初めて大阪で食べた時にあまりに味が濃くて驚いたものだ。たこ焼きやお好み焼きにマヨネーズ、の取り合わせにも目を見張ったが、田舎者だと思われたくなくて、平静を装って食べたら病みつきになった。母のアッサリ焼きそばは今でもたまに作ることがある。
前置きが長くなった。トマタマに必要なものはトマトとタマゴだけ、何のひねりもないネーミングである。トマト3個にタマゴ4個ぐらいが目安。まずフライパンに油を少し多めに引いて、溶いたタマゴ(砂糖と塩を少々)をレアにスクランブルし、一度皿にあげる。
娘、姉と入院前の宴 |