2014年6月15日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(180)

山手線・田町(その11)
文:山尾かづひろ 

済海寺










都区次(とくじ):前回は三田台地の広岳院でしたが、今日はどこへ案内してくれますか?

一時はフランス公館梅雨最中   冠城喜代子

江戸璃(えどり):やはり三田台地で、田町駅から徒歩10分ほどの浄土宗の済海寺(さいかいじ)へ行くわよ。元和7年(1621)に長岡城主牧野駿河守を開基として念無和尚が開いたものだけれど幕末の安政6年(1859)に日仏通商航海条約でフランス公使館となり、初代臨時公使ド・ベルクールが駐在したのね。江戸時代の古地図の尾張屋清七板江戸切絵図安政版を見てみると割と海岸の近いところにあって、道一つ隔てた海岸には薩摩藩の蔵屋敷があって慶応四年(1868)勝海舟と西郷隆盛の江戸無血開城会談があったのよ。無血開城は倒幕を目標として進軍してきた官軍に認められる筈はなかったけれど、海舟の機略に会って譲った。ということになっているわね。でもね、それだけじゃなくて済海寺のフランス公使館や東禅寺のイギリス公使館の外国勢力の圧力も考慮に入れた筈よ。
都区次:夕方になりましたが、今日はどうしますか?
江戸璃:普連土学園下のダイニングレストランのピザでワインを飲みたくなっちゃった。
都区次:いいですね。行きましょう。

フランス公使館跡碑













古地図にも済海寺あり五月闇   長屋璃子
黒南風や談判ありし屋敷跡    山尾かづひろ