2014年6月29日日曜日

俳枕 江戸から東京へ(182)

山手線・浜松町(その2)
文:山尾かづひろ 

都電の車庫









都区次(とくじ):前回は浜松町の大門でしたが、今日はどこへ案内してくれますか?

四十階の展望梅雨晴間   熊谷彰子

江戸璃(えどり): 今日も山手線の浜松町から行くわよ。浜松町駅は羽田空港へ行く東京モノレールへの乗り換え駅と小便小僧の像のある駅としても有名だけど、世界貿易センタービルの最寄駅としても有名なのよ。このビルは昭和45年3月に152メートル、40階建ての超高層として完成してね。それほど古いとは思わないけれど近々壊されて200メートル級の超高層3棟に建て替えられるそうよ。ボヤボヤしていると名物だった東京港の展望が出来なくなっちゃうわよ。今日は上ってみましょう。ところで、このビルが出来る前は何があったか知ってる?何と都電の車庫があったのよ。想像できないわよね。それでは大門を潜って日比谷通に突き当ったら右に行って、大矢白星師に12年前に案内してもらった有章院霊廟二天門(都の重要文化財)へ行くわよ。有章院は徳川七代将軍家継の諡(おくりな)であって、勿論、当時はこの門続きに墓域があったのだけれど、このあたり一帯が西武系資本に買収されてしまったため、墓所は増上寺内へ移り、門だけが旧態をとどめているのよ。門の左右に構える増長天と多聞天も、何やら寂しげよね。
都区次:夕方になりましたが、今日はどうしますか?
江戸璃:世界貿易センタービルの地下のイタリアンでワインを飲みたくなっちゃった。
都区次:いいですね。行きましょう。

二天門










水無月も終りに近し二天門       長屋璃子
門だけのぽつねんと建つ梅雨晴間   山尾かづひろ