2014年8月3日日曜日

尾鷲歳時記(184)

一つ年下の凄い奴 
内山思考 

唐辛子噛んで火を吐く男かな  思考

ガメラは昭和40年生まれ









ハリウッド映画の「ゴジラ」が話題を呼んでいる。息子が早速観て来たようなので、どうやった?と聞くと「面白かったで。日本人の持ってるゴジラのイメージを上手く生かした感じ」とのこと。ああそうと応えたが、それでもやっぱり第一作が一番や、と僕は心の中で思っている。どれだけCGが進化しても、あのモノクロ画面のゴジラの迫力こそ本物だと。

本多猪四郎監督、円谷英二特撮監督の「ゴジラ」が世に出たのは昭和29年、今年が生誕六十年なのだそうだ。昭和28年生まれの僕が、この魅力的な大怪獣の存在を知ったのは、八年後の第三作「キングコング対ゴジラ」1962(昭37)年、だから、実はリアルタイムで客席から初代を見上げた訳ではない。和歌山の片田舎で、何かの雑誌の映画情報として「キングコング対ゴジラ」を知った時、僕は小学四年生だった。そしてなんじゃこれは、と思った。それまでの、月光仮面とか怪傑ハリマオとはまったく違うタイプの主人公が登場したのだ。

しかし、一見醜悪で巨大な怪物が新しいヒーローになるのにそれ程時間はかからなかった。五年生で転校した町には映画館があり、そこに次々と怪獣モノがやってきたのである。当時の学校はわりと映画鑑賞には鷹揚で、教育の一環として教師引率のもと観に行かせてくれた。東宝のゴジラシリーズは特に大人気でモスラ、ラドン、キングギドラなど人気怪獣を揃え、大映はガメラにギャオス、少し毛色の違う大魔神をデビューさせた。

昭和58年のゴジラ本と最新作パンフ
内容が単純な勧善懲悪ストーリーでも僕らは大いに熱狂した。ロケットや怪獣のしっぽを釣っているピアノ線が見えても、着ぐるみだと知っていてもそれを許容して余りある魅力が、特撮映画にはあったのだ。ところで、同じ怪獣マニアだったらしい恵子が収集したゴジラ、モスラのワッペンやシールの小箱が、探しても見つからないという。彼らは一体、我が家のどこに隠れているのだろう。