2014年9月21日日曜日

尾鷲歳時記(191)

泣いて笑って秋 
内山思考 

コカリナはまごころの笛さやけしや   思考

桂文我さんのスケジュール








町のところどころに咲く百日紅もそろそろ見飽きて、暮らしの内外(うちそと)の光と陰、それに大気の肌触りにやさしい秋の気配がして来た。ずいぶん先のことだと感じていたのに、妙長寺での「第40回桂文我落語会」も予想通りの盛況で大笑いのうちにお開きとなり、恒例の打ち上げが、青木の奥さんのお手製料理と四方山話を肴に、ビールと焼酎の湯割りと番茶でこれまた夜更けまで笑ったり笑わせたり。

次回は来年の春になりそうだとのこと。年が変わる前にどこかの寄席に、また文我さんの噺を聴きに行ってもいいな、と思ったが、遠出になるから恵子の体調との相談になるだろう。それにしても、新鮮な刺身に寿司、エビと鱧のフライ、芋煮、煮豆、こんにゃく煮、カツオ生節に茎漬けなど山海の恵みは、本当にご馳走と呼ぶにふさわしい品々であった。ああ写メールを撮って置けばよかった。

黒坂さんと言えば木の笛コカリナ
1日置いて今度は、紀宝町鵜殿のミュージックカフェ、フォークスにて矢口周美(かねみ)さん黒坂黒太郎さんのコンサート、今回は昨年亡くなった周美さんの姉、歌手のたつの素子さんのバンド仲間、波多野信子さん(ピアノ)も出演、曲の合間の周美さんのMCを聞きながら、「たつの素子」という存在がいかに彼女にとって大きかったかがうかがえた。CDで聴くとしんみりする矢口周美の歌がライブだと泣けるのは不思議なのか当然なのか。とにかく清浄な気持になって帰宅したのだった。