内山思考
養老の滝壺となり新酒くむ 思考
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石蕗の花が咲く柿衞文庫の庭 |
柿衞文庫での「北山河、人と作品」の話が無事に終わって、僕の中で何か大きなものがゆっくりと遠ざかって行くのを感じている。強いて言うとしたら、子供の頃の祖父「田花思考(房吉)」の記憶とそれに繋がる北山河、北さとりの名前だけのイメージ、あと自分が俳句を始めてからの「大樹(主幹北さとり)」の思い出などである。事前の下調べで、祖父の残した旧号を昭和初期の創刊時代から読んだのだが、たくさんの誌友、同人の俳句や文に触れる内に、血縁ならぬ俳縁の系図を辿っているような懐かしさを覚えた。つまり、その時々、みんな一生懸命に生きていたんだな、という感慨である。
あらためて今回、祖父と孫(僕)の二代の俳恩を総括する機会を下さった大阪俳句史研究会の方々に、厚くお礼を申し上げたい。会の後の打ち上げで、朝妻力さんや辻本康博さんが、楽しそうに杯を傾けるのを見ていたので、帰路の車中で冒頭の句が浮かんだ。あとは連想で
俳談や下戸は秋水もて酔わん
バッカスも酒仙も笑うキノコ鍋
おかわり」は魔法の言葉秋思なし
子規よりの俳諧の縁柿の園(えん)
秋の旅酒杯の舟を乗り換えて
気がつけば11月である。ハロウィンの黒とオレンジの飾り付けが消えた後の店先は、知らぬ間に赤と白と緑色のクリスマスカラーに染まるだろう。少し早いが
クリスマスとは色で来る音で来る 思考
あれ「音と色」だったかな?早いもので、それぞれに365日の未来を内蔵した2015年用のカレンダーが幾つか届き、年賀はがきも売り出されたそうだ。
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農家から頂いた柿、味よし |