内山思考
敬老の日の忙しき口と胃と 思考
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彼の店に集合 |
としこさんみどりさんたちの肝煎りで、高校時代のクラス会をすることになった。話を聞いた時はずいぶん先だと思ったのに早くも当日、車で一時間ほど走ってまさしくんの店へ到着し、すでにご馳走の並んだ二階の広間で待つ内に一人二人と懐かしい顔ぶれが揃い始めた。「久し振り、わかる?」「えーと誰?」なかには、卒業以来四十数年ぶりの再会で見つめ合う面々も、相手が判明すればたちまち笑顔で打ち解ける。
やがてビールやウーロン茶で喉の滑りがよくなり名物、手打ちのうどんすきで馬力をつけると、かつての高校生たちは時を遡り頬を赤らめて語り合うのであった。
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懐かしい時代だ |
T・Uさん ときめきと四季を忘れず小鳥来る
K・Uくん 栗の実を煮て竹取の翁かな
M・Oさん みな違いどれも美味なる林檎かな
M・Nさん 水澄むや尽きず輝く瑠璃と玻璃
M・Sさん 木の実降る美しき代の城山に
T・Mさん 妙(たえ)なるや胡桃橡の実世を繋ぎ
K・Hさん 気は満ちて蔵に宝の古酒新酒
M・Nくん 脈々と地を引き締めて竹の春
K・Eくん 彼方までずっと先まで蜜柑山
M・Kくん 迷いなし酒と色気と猪の肉
N・Sさん 乗る船の無事を祈れば小紫
K・Tさん 谷川も水の秋なり君が里
S・Mさん 鶺鴒のいつも来る庭古都の晴
K・Yさん かく生きて拈華微笑の峰の月
Y・Wさん 佳き日とて新米炊いて寿げり
Y・Mくん 夢やがて現に至る十三夜
T・Hさん 田も畑もまさに五穀の紀伊の秋
M・Mさん 松が枝に月あり美しき都
今度彼や彼女たちに会うのは果たしていつのことになるだろう。