内山思考
浦花火闇をたっぷり挟むなり 思考
娘が送って来た 熊野大花火の画像 |
毎年8月17日は熊野市の花火大会(熊野大花火)である。昔からよく知られていていつもかなりの賑わいとなる。どれくらい賑わうかというと、まず紀伊半島の交通の命綱とも言うべき国道42号線が熊野市で通行止めになる。だからこの日尾鷲から和歌山方面へ行くことは考えない方がいい。
そしてもしも花火見物に行こう、と思うならその日のんびり出かけていては駐車場の確保すらままならないのだ。第一、迂回路や近道がほとんど無いに等しいため、まずは熊野へたどり着くまでが一騒動なのである。娘は勤務先が熊野なので花火の日はいつも帰宅を諦めて友人宅へ泊まる用意をして出勤する。
今年もそのつもりで朝、通常より一時間早い6時半に家を出たようだが、すぐ「アカン、渋滞で車動かへん遅刻する…」とメールが来た。その頃僕は炭焼の木こりに行くために反対方向に移動していたが、対向車線つまり熊野方面へはほとんど切れ目なく名古屋など他県ナンバーの車が走っていた。バイクも多い。
仕事を終えて昼過ぎ42号線に戻るとまたまた花火ドライブの車の列に挟まれてしまった。電光掲示板に「熊野花火大会のため、鬼ヶ城トンネルから矢の川峠まで20キロ渋滞」とあるが、それはまるまる熊野ー尾鷲間の距離なのだ。花火が終了してもすぐに通行止めが解除になるわけでなく、日頃30分もかからない距離でも、帰鷲が午前様になるのは当たり前なのに、それでもみんな出掛けて行くのである。
大樹来鷲当時の新聞記事 |
ところでわが尾鷲にも花火大会はある。8月第一土曜日の「おわせ港まつり」がそれである。規模は熊野に及ぶべくもないが、それはそれで趣のあるものなのだ。20年以上前、「大樹」の同人方が見に来られたことがあった。物足りないのでは、と心配したが、あに図らんや皆さんとても気に入って下さり、「尾鷲の花火は素晴らしかった」「港に映ったあの彩りが忘れられない」「出来ればもう一度見てみたいものだ」などと賞賛を述べて頂き、それぞれがどうも社交辞令では無さそうで嬉しかったものだ。その時来て下さった方々はもうほとんど他界された。