2012年12月2日日曜日

尾鷲歳時記(97)

今日は山人
内山思考

寄鍋や箸は過去から未来から   思考

朝日を受ける大銀杏












 今日は久しぶりに南伊勢町の山へ炭の原木を伐りに行ってきた。朝7時に家を出て、駐車場まで少し歩く。丁度その方向が真東になるので、出たばかりの冬の太陽と向き合う形になり、さあ、これから楽しい肉体労働の始まりだ、と胸が躍る。僕の好きなひと時だ。いつもより寒いと思ったら案の定、車のフロントガラスに霜が降りていて、ああ、冬がやってきたんだと改めて実感した。キャッシュカードを出して霜を削ろうとしたら、近所の奥さんが「これ使って」とお湯を入れたペットボトルを持って来てくれ、有り難く頂戴したそれをかけると一瞬にして霜は融けた。

ようやく出発して路地をでると、金剛寺の前の大銀杏が朝日を浴びて見事に輝いている。あまりの美しさに、車を停めて写メールを数枚撮った。再び走り出し、FMでクラシックをききながら20分後に窯に到着、今度はトラックに乗り換えて一路、原木山へと向かう。同行はH君とS君で共に四十代だ。他愛の無い雑談をしながら海沿いに走る走る。

やっと目的地へついたら今度はリュックサックを背負い、チェーンソーを持って急斜面を登らなければならない、僕は重い物を持つのは苦にならないが、登山は不得手ときている。それでも高度を稼がねば仕事にならず、やっとの思いで現場に荷を下ろすと、もうそこで弁当を食べたい気持ちになった。しかしそうもいかない、簡単に段取りを説明して、さあ開始、程なくそれぞれのチェーンソーが唸りをあげ始めた。

この景色をおかずに
弁当を食べた
しばらくは忘我無我の時が流れて、あれもう11時。木を積んで帰る時間から逆算すると今が昼食にベストと判断した僕は「ホゥッ」と声を発して他の二人にその意志を伝え、リュックサックからミカンを取り出して、上にいるS君、下のH君に投げてやる・・・が上手く届かず申し訳なし。それにしても遠く見張るかす岬や入江は絶景である。「あれ何処や?」と聞くとS君が 「浜島の方と違いますか?」と言った。